深愛
レンタルビデオ屋さんに返却物がある時は日付が変わる寸前まで忘れたフリをする。
そして、りゅーさんの仕事終わりに合わせて家を出て電話する。
夜、家を出るのに怪しまれないようにあみ出した技。
この前もその技を使って電話することができた。
でも、声が聞きたいだけの電話とは違うのよ、今回は。
絡まった気持ちをちゃんとほどかなくては。
メールでなくて、直接話がしたいの。
雑談してからいざ、本題へ。
♦「ずっとね、私だけが好きなんじゃないかと思ってた」
♠「そんなことないよ、どうして?」
♦「いつも、声を聞きたいとか会いたいとか、発信するのは私からだし。りゅーさんから声聞きたいっていわれたことないもん」
りゅーさんはそれは自分からは言いにくいと答えた。
私の家族への気遣いや、電話をするとなると、家を出なくてはいけない、私を心配してくれていたみたい。
その発想は私にはなかったな。
りゅーさんはりゅーさんでちゃんと私のことを考えてくれていたんだ。
ここ数日の、私のメールの変化も気付いていなかった。
やっぱりね。笑
でも、もう私の中で吹っ切れたことだったから、笑いながら話すことが出来て。
りゅーさんも、それを笑いながら聞いてくれて。
そしてりゅーさんは真面目な声で
♠「きっと、今は自分に余裕がないからk-coのことを不安にさせちゃうんだろうな、ごめんね。もう少し暖かくなったら落ち着いてくると思うから。それまで待っててくれる?」
本当は他にも仕事が山積みなんだけど、もう少し軌道に乗るまではここを離れられないと。
そうだった。
私が好きになったりゅーさんはそういう人だった。
♦「うん、待ってる。これからもメールでは♡も好きも送るけど、会いたいだけはお休みするね。断られるの悲しいし」
♠「そうだよね、淋しいもんね。ちゃんと自分から言うから」
♠「k-co、好きだよ」
やっと、安心できた。
言いたいこと、聞きたいこと、りゅーさんの思い。
全部叶った。
少し深く繋がれた夜。
ありがとう。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。