三日月、笑って

婚外恋愛、今、思うこと。

手とハグとチョコレートと。



私のバレンタインは前回の逢瀬で既に渡してしまったので、この続きを。

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りゅーさんの終電までのリミットは1時間もない。

ゆっくりお話出来るお部屋へ。

でも、緊張しすぎて何も話せない。

部屋の中はなんだかウィークリーマンションみたい。

入るとりゅーさんはスーツの上着を脱いでベッドに座る。

でも私はなかなかそこに行くことが出来ずにりゅーさんの上着をハンガーにかけたり、自分のコートを脱いだり、もたもたしてると

♠「k-coちゃーん」

と呼ばれる。

k-coって呼ばれるのも好きだけど、k-coちゃんって呼ばれるのもきゅんとする。

りゅーさんが私に甘えてくれてるみたいで可愛いと思ってしまう。

違う違う。

私には今回どうしてもしたいみっつのことがあるのよ。

ひとつ目。

りゅーさんのお仕事たくさんして荒れた手に、クリームをつけてマッサージしたいの。

バッグからクリームを出すと

♠「お、塗ってくれるの?」

と嬉しそう。

りゅーさんはずーっとニコニコ笑ってる。

私は緊張しすぎて顔すらろくに見られない。

でも、大好きなりゅーさんの手を今は私が独り占めしてると思うととても幸せ。

塗り終わるとりゅーさんはありがとう、と言いながらハグをしてくれた。

したいことふたつ目。

このハグが大好きなんだ。

私が前に、次会う時はりゅーさんが一番好きな香水つけてきてね、とお願いした。

仕事終わりだったから、ほんと微かに爽やかな香りがする。

それがりゅーさんの匂いと混ざってクラクラしてしまう。


そしてついにりゅーさんと致してしまったのですが、記憶が曖昧。

でも、覚えているのはりゅーさんがものすごく私を気遣ってくれたこと。

それが苦手な私に

「痛くない?」「怖くない?」って何度も聞いてくれた。

声から、仕草から、りゅーさんの優しさが伝わってくる。

そして私を見るりゅーさんが、今までに見たことないくらいの優しい笑顔をしていて。

私、愛されてるなぁって、自惚れじゃなく、その笑顔見たらそう思えたよ。


1時間にも満たないデート。

でも、深く、強く繋がれた。


帰る間際にみっつ目。

次、またいつ会えるか分からないから、1月中旬だったけど渡したチョコレート。

りゅーさんが10年程前好きで時々買っていたそのチョコレート屋さんが、実は今私が住んでいる家のすぐ近くにある。

10年前は私はこの地にいなかった。

でも、りゅーさんは時々買いに来ていた。

そのすれ違いを経て今私がりゅーさんにそのチョコレートを渡す。

なんだか運命を感じずにはいられない。


お互い別の道を歩んできて、今やっと交じわった。

きっと10年前に再会してても、こんな風にお互いを思い合うことは出来ないんじゃないかと。

きっと今だから。

そう思わずにはいられないよ。