三日月、笑って

婚外恋愛、今、思うこと。

秘密の小部屋。

おいで、

とベッドに横になったりゅーさんが手招きする。

久し振りの腕枕。

つるつるすべすべなりゅーさんの肌。

気持ちいいなぁ。

そう思いながら横顔を眺める。


スッと高い鼻も

口角の上がった口元も

ちょっと眠そうな目も


全部、全部。



♠️「見つめすぎじゃない?」

♦️「まだまだ足りない。一年分」

♠️「いいよ」


笑いながら天井を見上げるりゅーさん。

心置きなく横顔を眺める私。

ずっとこのままでいられたらいいのに。


りゅーさんが私の方を向く。

目が合ってしまった。

フレンチキス。


りゅーさんの手は、肌は

私を優しく、大切に扱ってくれる。

私のコンプレックスにも、優しくキスをして微笑んでくれる。


私がりゅーさんを愛しく思うように

りゅーさんも私を愛しいと思ってくれている。

伝わってきたよ。

りゅーさんの気持ち。


私の息があがると、腕枕で休憩。

ふいにりゅーさんが立ち上がりどこかへ行く。

戻ってきてキスをされると

口移しでビールが流れ込んできた。

甘い、甘いビール。



身体を重ねること。

私の中では

強くて痛くて怖い。

そんな思いをずっと抱えてた。


でもりゅーさんは

苦痛だったはずのその行為を

幸せな、愛しい時間に変えてくれた。

ありがとう。



次の約束はしなかった。


♠️「またタイミングが合った時、愛し合おうな」


私はそれを受け入れる。

今まで言葉を、約束を求め続けてきたはずなのに。



りゅーさんが私に投げかけてきた

きっと最初で最後の叶わない問いかけ。


♠️「俺の子ども、生んでくれる?」


とびっきりのプロポーズ。

今この瞬間だけの夢物語。


嬉しいはずなのに。

ぁあ、そういうことか。

何もかもを手離すことなんて出来ない。



それならば。


りゅーさんが隠し続けてくれた思いを、優しさを。


私もそんな風にりゅーさんを思えるかな。