三日月、笑って

婚外恋愛、今、思うこと。

三日月、笑って。

またしばらくは会えない日々が続くと思っていた。


りゅーさんが提示してくれたのは二日間。

私は後者なら平気かも、と。


確約出来ない中、最終的にりゅーさんが平気だったのは前者だった。


それでもどうにか捻出できないかと試みてくれたこと

私にはそれだけで充分だった。


もう半年過ぎたことで

それがあと何ヵ月か延びようが大したことない。

これからに向けてやるべきことはたくさんある。

きっとりゅーさんも頑張ってる。


でも今回のりゅーさんはちょっと違っていて

後者の日、時間取れそうならまた連絡するね、と言ってくれた。


当日、

頭の中で思い描く。

仕方ないよ。

お仕事頑張ってね(*^-^*)


予習はばっちり。


♠️:少しの間なら行けそうです。



そんなことってあるんだろうか。

早く行きたいのに、心が追いつかない。

再会した時の緊張とはまた違う。

痛くて少し苦しくて。

会いたいのに、会いたくないとすら思ってしまう。

それでも急いでいる。

もうパンク寸前。



半年振りのりゅーさんが目の前にいても

顔もろくに見ることが出来ず、

嬉しいのかどうかも分からない。

急に始まってしまった逢瀬、

あとはふたりが別の道を歩いていく

数時間後の光景だけが

頭から離れない。


♦️「もう二度と会えないかと思った」

♠️「心配かけてごめんな」


どんなこと話したかな。

あんまり覚えてないや。

ただ、りゅーさんの後ろ姿が少しふっくらしていたのに安心した。

よかった。


ぽつぽつとりゅーさんが話してくれたこと。

喉まで出かかった

「私と離れようとは思わなかったの?」


やめた。

こんなこと聞いても意味ない。

りゅーさんが何度も申し訳ないって、ごめんねって謝るのを見たかった訳じゃない。


やっと顔を見ることが出来た。

相変わらず優しい顔してるなぁ。

でもちょっとだけ、いつもより怖い顔。

口数の少ないお互い。

りゅーさんも緊張してるんだって。

おんなじだね。


優しく抱きしめられた。

♠️「会いたかった?」

♦️「ずっと、会いたかった」


痛い位、強くなった。

普段のりゅーさんからは想像出来ない程。

りゅーさんの気持ち、届いたよ。


会えたのはほんのわずかな時間。

これからまた仕事に戻るんだって。


帰る直前、

私はスーツ姿のりゅーさんがあまりにもかっこよくてみとれていて

例えばね、オリンピック協議会の執行役員みたいにかっこいい

と言うのを

全然意味が分からん

と笑ってくれたりゅーさん。


なんだかそういう会話が出来たのがまた嬉しくて。

別れ際

「また連絡出来る時にするね」

後ろを振り向かず人混みに消えていったりゅーさん。


見上げると、空にはまさかの三日月が笑ってた。

これは誰からのサプライズ?


会った直後に浮かんだ光景が

別の色を纏って上書きされたよ。

また ひとつ

あの👍まみれのメールを送ってくれた日から

二度りゅーさんから連絡が来た。



1回目は、

よく待ち合わせしたあの街へ今から行くと。


時間もギリギリだったし

その時私自身が抱えていた問題もあって

行ったらきっと後悔する。

私は私を許せなくなる日が来るかもしれない。


きっと、これでよかったんだって自分に言い聞かせていた。



その後に迎えた私の誕生日。


りゅーさんと再会してから三度目を迎えた。

どこかでちょっと期待していたの。

ほんの少しだけでも時間を作って連絡してくれるって。

けれど、りゅーさんからしか鳴らないそのアプリは

一日過ぎてもずっと静かなままだった。



もしかしたらこれでよかったのかもしれない。


あんな風に何があったか分からないまま

連絡が途絶えるよりも

お互いの気持ちが分かったうえで

自然に、ごく自然に薄れていく。

幸せな結末なのかもしれない。


毎日思うよ。

元気かな。

大丈夫かな。

会いたいな。


でもね、

連絡を取らないと

それがあたりまえになるの。


私の日常には、

りゅーさんの日常には、

お互い いないんだって。


だから

これがふたりにとって

一番いい結末なんだ。



それでいい。



それがよかったはずなのに。



しばらくしてまたも突然送られてきた。


遅くなってしまったけど、

お誕生日おめでとう。


その後に少し時間があることが書いてあった。

だけど私はやっぱり出られない日で。


せっかく連絡くれたのにごめんね。

そう言う私に


いいんだよ、いつも突然なんだから。

と、優しい言葉をくれる。


知らなかった。

お誘いを断るのがこんなに申し訳なくて苦しいなんて。

私は今までどれだけりゅーさんに

そういう思いをさせてきたんだろう。



それからお互いの都合がつく日を

打診し合うけれど

そのどれもが不確定。


くれぐれも無理はしないでいようね。

それが合言葉になりつつあるふたりにとって

約束を交わすというのはかなりハードルが高い。



最後に会ってから

もう半年が過ぎた。


ねぇ、

もしかしてりゅーさんも

会いたくて会いたくてたまらない夜とかあるのかな。


私が思うように

りゅーさんも思うこと、あるのかな。




最後にひとつだけ聞いてみた。


♦️:いつかきっと、重なる時がくるよね。


♠️:👍

♠️:そうだね、ありがとう。




それは私の台詞だよ。

それでも なお、

風の強い夜だった。


突然届いた


👍

👍



私が送ったメッセージ、

しばらくして既読になったあの日から。

空白の日々。

これ以上文字を書き連ねることはないだろうと思っていたのに。


ううん、

予兆はあった。

私が気づかなかったり

半信半疑の出来事が。



👍

👍

👍


ひとつ多目に返信。


するとまた

👍

が返ってくる。


♦️:元気?

♠️:👍

♦️:しゃべったらいけないゲーム?笑

♠️:👍


その後、何を聞いても、どんなスタンプを送っても返ってくるのは

👍

だけ。


楽しいのと、ざわざわするのが交互にあらわれる。


♦️:何か話せない理由でもある?

♠️:👍

♦️:元気ならそれでいい。ありがとう。

♠️:👍👍

♦️:とびっきりの👍届けー!!

♠️:👍👍👍


♠️:そろそろおやすみなさいだね。



しゃべった!


♦️:いつも難題で難解だね。

♠️:そうだね。

♦️:話したいこといっぱいだよ。聞きながら寝てもいいよ。

♠️:聞きながら?

♦️:仮に、の話。またいつか会えたらね。

♠️:今から会いにいくよ。

♦️:無理なことは言わないの。

♠️:k-coが無理だもんね。分かってます。


この時すでに日付は変わっていて、そんな時間に私が出られないとりゅーさんも分かっていたはず。

そもそも出来ないことは口に出さない主義。

それでも

「今から会いにいくよ。」

って。

ドキン、って痛い位。



♦️:気持ちだけ、ありがたくもらっておきます。ありがとう。これからは私から連絡しない方がいい?

♠️:うん。今日のやりとりも削除するね。

♦️:削除する前に言ってもいい?

♠️:言わなくてもいい。

♦️:えー、メリークリスマス✨🎄✨もダメなのー?

♠️:ありがとう。

♦️:おやすみなさい🌃

♠️:ありがとう。

♦️:何もしてないよ。

♠️:連絡出来る時はこちらからするね。よろしくお願いします。

♦️:こちらこそ、よろしくお願いします。またね。

♠️:👍



一年と少し前に、またね、を送った時は返ってこなかった。

申し訳ないを重ねた最後のメッセージから3ヶ月、

今度はありがとうを重ねてくれた。



本当はね、削除する前に伝えたかった。

伝えられなかった思いの数々。

言わなくても分かるって分かってるよ。

言葉の無力さを、怖さを知っているからこそ

これからは文字でその言葉を伝えることは出来ないんでしょう?


結局のところ、何があったのかも聞けなかった。

これからどんな風に連絡を取るのかも

いつ会えるのかも分からない。


もう、自分から連絡出来ないし

待つばかりになるよ。

本当にいいの?



それでも、

文章では伝えられない

どうしようもない思いが、

👍とありがとう

に含まれている気がしてならない。




私も

りゅーさんも

思っていたことは同じ。




忘れられない

クリスマスより少し前の出来事。







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またいつか、

を願ってくれた皆さん、

本当にありがとうございます。