三日月、笑って

婚外恋愛、今、思うこと。

予想はずれ

電車に乗って並んで座るとりゅーさんが

♠「手、つなぐ?」

と聞いてきました。

あまりにも恥ずかしくて食い気味に

♦「つながないっ」

と答えた私。なんて可愛げない。

♠「そっか」

ポンポンと私の手を叩きました。

その手があまりにも冷たくて

♦「すごい冷たいね」

♠「だからあっためて」


とても不思議な感覚。

20年前、あんなに大好きだったけど、会話すらろくに出来なかったりゅーさんと今こうして手を繋いでる。

恥ずかしくてまともに顔を見られなくて、向かいの窓越しに見てみたり、靴を見ては足大きいなーとか、

長い指、キレイな手だなーとか、スーツかっこいいなーとか、溢れ出る思いが止まらなかった。


お互いの生活圏ではないターミナル駅で降りてご飯を食べることに。

向かい合わせに座るとますます恥ずかしい。

思い出話に花を咲かせて、会話が止まった瞬間に目が合って二人で照れ笑い。

それを何度も何度も繰り返す。


りゅーさんはとても気遣い屋さんで、それをスマートにやってのける。

りゅーさんが注文した鶏肉の鉄板焼。

でも、それは私が鶏肉を好きだと言ったから。

お会計の際はこの札をお持ち下さいと書いてあるから持っていこうとしたら

♠「大丈夫だよ」

♦「なんで?書いてあるよー」

とレジに持って行くと、もう会計済みで、私がお手洗いに行った時に済ませていてくれたみたい。

私、こんな女の子扱いされたの初めてです。


そのスマートさや、それまでのやりとりも含め、完全に私はりゅーさんの手のひらで転がされていたので、きっとりゅーさんは心理学をやっていたに違いない。と勝手な仮説をたてていました。

それを本人に聞いてみると、興味はあるけどやったことない、と。

予想大ハズレ。

天然だったとは。

顔上げて

♦︰まだ△△にいるよ。

♠︰17:30前には着くよ。

♦︰遠くから盗み見るだけでもいい?笑

中学生みたいに。

♠︰それでもいいよ。笑

k-coのすきなようにして。


もうお腹痛い。こんなに緊張したことなんてないって位。


♠︰あと3駅。どうしたい?

♦︰わかんない。会いたい、会っちゃダメ。でも会いたいの無限ループ。

♠︰そうだね、同じ気持ち。


もうすぐ電車がつく時間。


決めた、後悔はしたくない。


♦︰一目だけ、顔見られたらそれだけでいいや。

♠︰分かった。着いたよ。どこにいる?

♦︰上りホームのエレベーター後ろ。


顔が上げられない。ずっと下をむいたまんまの私。

視界の端に革靴が見えた。

恐る恐る顔を上げると、泣きそうな位優しい笑顔のりゅーさんが立っていた。

側に行きたいのに、緊張しすぎて足が動かない。


♠︰このまま続けようか。

♦︰うん

♠︰おもろーい、柱に同化してるよ。

♦︰変わってないね

♠︰老け顔だったからね。あんまり顔見えないなぁ。

♠︰電車乗ろうか?こっち来たら?


そこでようやく私の足は動いたのでした。

一人散歩

翌朝、起きてもなんだかふわふわする。

昨日の出来事は夢?私の得意な妄想?

確か、お互いの気持ちは通じ合った、はず。


♠︰おはよー。では今から○○(地名)行ってきます!終わるのは夕方くらいかなー。

♦︰えっ!地名言っちゃうの?ズルいよ。

♠︰ズルいとかではなく報告のつもりだっただけだよ。求めてはいけないのも分かってる。


なんで昨日曖昧に答えたのに地名言っちゃうんだよー。行きたくなっちゃうじゃん。゚(゚´Д`゚)゚。


午前中だけの仕事も終わってしまった。

どうしよっかな。

って迷うふり。

でもさすがにりゅーさんが仕事している駅には行けなくて、その手前にある少し大きな駅で一人散歩することにした。


♦︰一人散歩、△△の旅。少しだけ、近くにいるだけならいいでしょう?落ち着いたら帰る。


商店街ではお祭りがやっていて、ウロウロ。

でも特に食べたい物もなく、今度は一本道をひたすら歩く。

このまま歩き続けたらりゅーさんに近づけるかな、なんて思いながら。

どれ位歩いたかな、と地図アプリ見てみると、りゅーさんがいる場所とは真反対に向かっていました。なんて方向音痴なの、私。。

そうだ、カフェオレが飲みたい。ファミレスじゃなくて、喫茶店に入って本でも読みながら、普段出来ない贅沢なことしよう!

いい具合にレトロな喫茶店発見。

時刻は16時少し前。

美味しいはずのカフェオレも、読みたかったはずの小説も全然進まない。


♠︰終わったよ。今から出るね。まだ△△にいる?


ここまで来ておいて、私はどうしたいんだろう?