三日月、笑って

婚外恋愛、今、思うこと。

いつまでもグレー

春。

私の誕生日の後にはりゅーさんのお誕生日がやってくる。


ここ最近のメールは簡潔に、を心がけていたので

お誕生日メールもあんまり長くならないように送った。


◇:お誕生日おめでとう🎂✨

今日という特別な日に心からおめでとう🍀

笑顔溢れる一年になりますように。


♠️:ありがとう、もうひとつ大人の階段登れるようがんばりますね。今日は風が強いね。



去年は直筆メッセージを写真で撮って日付が変わった瞬間に送ったなぁ、なんて思い出した。

あの時は今こうなっていることなんて

予想もしていなかった。

きっと来年も予想もしていないことが起こるかもしれない。

願わくばそれがいい方だったらいいな。

そうでありますように。


そんなプラスの気持ちだったはずなのに、

夜中になったらなんだか伝えたい衝動に駆られてきた。

まだその時じゃない。

そう自分を落ち着かせようとしたけど

一向に鎮まる気配がない。


こうなったらとりあえず伝えたいことを全部メールにしてみよう。

送らなければいいだけの話。


◇:ふとした時にいつも思ってしまうよ。

元気かな、頑張ってるんだろうな、ちゃんと休んでいるかなって。

三日月見ると思いが溢れそうになる。

もうひとつ、大人の階段登ったら、その時は一目姿を見せてくださいな。

そして名前を呼んで。


送らないラブレターに思いを込める。

ちょっとスッキリした。



と思ったら、事もあろうに送信してしまった。

盛大にやっちまった。

どうしよう、

どうしよう。

送ったメールを削除出来ないものかと検索しまくったけどあるはずもなく。


◇:うそ、ごめん。削除して!

本当にごめんなさい。


慌てて送信する。


伝えてはならない思い。

お願い、読まないで。

読まないで捨てて。

どんな答えが返ってくるのか怖い。

それとも返事なんて返って来ないのかもしれない。

返事が来なければそれが答えってこと。


ほとんど眠れず朝を迎える。

読まないで、という気持ちと相反して

自分の本当の気持ちを送ってしまったことで

少しスッキリしてしまったのも確か。

きっと返事は来ない。

今までもそうだったから。



それなのに、朝、返事がきた。


怖い、読みたくない。

とうとう決定的なことを言われる。

困る、もう連絡するのやめよう。

そんな言葉を思い浮かべて胃が痛い。


よし、心は決まった。

受け止める準備も出来た。

恐る恐るメールをひらく。


♠️:おはよう。心配してくれて、ありがとう。体調は問題ないよ。

子育て大変な時期だから、自分を追い込まないように、ゆっくり休みながら過ごしてね。



完全に不完全燃焼。

体調のお伺いじゃないのに。

でもそれも分かってるはず。

私がちょっと精神的にしんどいと思っているのかな。

あまりにいつもと同じ過ぎて、

もうりゅーさんは私と向き合う気はないのかな、とも思う。

肝心なところには決して触れてくれない。

見て見ぬふり?

それとも、前に言われた

【しっかり読んでるよ】?

優しいのか冷たいのか分からない。


ただ、ひとついえるのは

もうメール出来ないや。

桜がつないでくれた距離

季節の変わり目、イベントの日、

何か伝えたいことがあると

りゅーさんにメールをする。



バレンタインの日には

去年渡したお店のチョコの写真と共に。

今年はご褒美用に自分で食べるんだ、とメッセージを添えて。


またある時は

以前りゅーさんがすすめてくれた洋菓子を偶然にもお土産で頂いたのでその感想と共に。


その頃、りゅーさんからの返事は

産後の私の体を気遣ってくれる言葉たち。


体をいたわってくださいね。

体調気をつけてくださいね。


自分で送っておきながら

敬語と、予想出来る返事に

少し凹んだりして。


返ってくること、

それだけでよかったはずなのに。

またいつからこんなに欲張りになったんだろう。



それでも、

やっぱりつながっていたいから

少し無理矢理見出だしては送ることもあったりで。



近所の桜の蕾がピンクに色づいた時は


◇:春はもうすぐそこだよ🌸


♠️:ほんとだね、桜だ。夜は冷えるけど、もうすぐ春だね。


あれ?

いつもの敬語がない。

なんだかそれだけで嬉しくなる。

春だもん。

少し位喜んだっていいよね。


その一週間後、


◇:咲いたよー!暖かいってだけでなんだかウキウキしちゃう♪お仕事終わりの夜桜もきっとキレイだろうね🌸


♠️:ほんとだね、春がやって来た感じ、今日はまずまず暖かいし。嬉しいね!



嬉しいね!



この一言があまりにも嬉しくて。

今までは私が一方通行に投げかけているだけだった。


でも、

嬉しいね!

って共感出来た。


りゅーさんにとってはなんでもない一言なのかもしれないけれど。

私はそれだけでなんだか胸がいっぱいになる。


それと同時に思いが溢れそうになる。

蓋をしてたはずなのに、

たった一言でこんな簡単に。


やっぱり私の気持ちはここに戻ってくるんだ。


でも、今はまだ伝えちゃいけない。

そんな気がするの。

いつかは分からないけど、

その時が来たらきっと分かると思うんだ。


だから今はこのままで。

思い出の数とは反比例。

高校に入り、友だちに誘われて行った小さなライブハウス。

そこであるバンドのボーカル、しゅんさんに一目惚れした。

当時、物販で売っていたのはCDではなくデモテープ。

しゅんさんの歌うメロディーに、歌詞に、世界観に引き込まれてしまった私はすぐさまデモテープを買った。

テープが擦り切れる程、毎日何度も聴いていた。

テープになっていない音源の歌詞が知りたくて、テレコで録音したライブ音源を巻き戻して聴いてを繰り返した。


ただのファンだった私。

毎回ライブの後のアンケートにはこれでもかと感想をズラズラ書く。

何度も足を運んだライブハウス。

もうここに来るのも何度目か。

バンドメンバーさんからライブ後の打ち上げに誘われた。

皆で過ごす夜の公園。

ただのファンから一歩前進。


何かのきっかけで教えてもらった電話番号。

夜、電話の子機を抱えて自宅の車の中でドキドキしながら番号を押した。


夏にはしゅんさんからひまわりのポストカードで暑中見舞いが届いた。

今もひまわりは大好きな花。


ライブで使ったハーモニカをもらったあの日。

両手で抱えて大事に持って帰った。


ある休日に、しゅんさんに誘われて繁華街に繰り出し

次のライブで着る衣装を一緒に選んだ。


バンドを辞めて他のひととユニットを組むかどうか悩んでると打ち明けられた日。

もうしゅんさんの中で答えは出ていたようで、

私はただ相槌をうちながら、今自分が置かれている状況を不謹慎にも少し喜んだりして。


そのユニットも解散し、いつの間にか連絡も取らなくなった。

今はどこかで元気に働いているらしい。

ここには書ききれない思い出がまだまだある。



一方で、

私とりゅーさんは小中学校の同級生。

小学校の高学年から中学校卒業まで、フラレた後も思い続けた。


気づいたら目で追っていた。

時々交わすなんでもない会話。

近くにりゅーさんがいると背中でも意識しながら友だちとおしゃべり。


それくらいしか思い出がない。

フラレた後はりゅーさんは私を避けていたし、

私も話せるほど勇気がなかった。


思っていた期間は同じくらいだけど、

思い出の数だけで言えば断然しゅんさんのが多い。


なのに。

今しゅんさんに会いたいかと聞かれたら、

元気でいてくれたらそれでいいと思える。


語れるほど多くもない思い出しかないのに。

なんでだろうな。




二度目の

春が来た。